無関係なことを考えてみよう【森博嗣】新連載「日常のフローチャート」第30回 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

無関係なことを考えてみよう【森博嗣】新連載「日常のフローチャート」第30回

森博嗣 新連載エッセィ「日常のフローチャート Daily Flowchart」連載第30回

 

【庭掃除と冬支度】

 

 庭園内で毎日掃除をしている。落葉掃除や枯枝集め、そしてそれらの焼却など。また、冬に向けて、除雪機のエンジンを整備したり、ストーブの薪を運んだりしている。けっこう忙しい。既に空気は冷たく、朝夕は手がかじかむほど。

 それでも、久しぶりに模型飛行機を飛ばしにいった。丘陵地の端の傾斜した場所で、グライダを飛ばしている人もいた。フライトは1回だけ(15分くらい)だったけれど、楽しかった。無事に着陸することで、すべてが報われる感覚があって、この報酬のために、ちょっとしたリスクを楽しんでいるのだな、という納得がいつもある。

 僕が担当している犬は、今6歳半だが、最近要求が強くなってきた。いつもと違うこと、順番が違うことに直面すると不機嫌で、おやつを食べない、散歩にもいかない、と拗ねる。それだけ賢いということか。人間も、不機嫌になるのは、だいたいこれと同じだな、と思われる。犬の振り見て我が振り直せかも。

 

リビングのベンチに座り、テーブルにどんと手を置いて、おやつを要求するハラスメント犬。体重は24kgになった。標準の3倍である。こんなに大きくなっても良いのだろうか。

 

文:森博嗣

 

KEYWORDS:

 

✴︎森博嗣 極上エッセィ好評既刊✴︎

静かに生きて考える   Thinking in Calm Life

✴︎絶賛発売中✴︎

 

 

森博嗣先生のBEST T!MES連載「静かに生きて考える」が書籍化され、2024年1月17日に発売決定。第1回〜第35回までの原稿(2022.4〜2023.9配信、現在非公開)に、新たに第36回〜第40回の非公開原稿が加わります。

 

 

 世の中はますます騒々しく、人々はいっそう浮き足立ってきた・・・そんなやかましい時代を、静かに生きるにはどうすればいいのか? 人生を幸せに生きるとはどういうことか?

 森博嗣先生が自身の日常を観察し、思索しつづけた極上のエッセィ。「書くこと・作ること・生きること」の本質を綴り、不可解な時代を見極める智恵を指南。他者と競わず戦わず、孤独と自由を楽しむヒントに溢れた書です。

 〈無駄だ、贅沢だ、というのなら、生きていること自体が無駄で贅沢な状況といえるだろう。人間は何故生きているのか、と問われれば、僕は「生きるのが趣味です」と答えるのが適切だと考えている。趣味は無駄で贅沢なものなのだから、辻褄が合っている。〉(第5回「五月が一番夏らしい季節」より)。

 

オススメ記事

森博嗣

もり ひろし

1957年愛知県生まれ。工学博士。某国立大学工学部建築学科で研究をするかたわら、1996年に『すべてがFになる』で第1回「メフィスト賞」を受賞し、衝撃の作家デビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか、「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、また『The cream of the notes』シリーズ(講談社文庫)、『小説家という職業』(集英社新書)、『科学的とはどういう意味か』(新潮新書)、『孤独の価値』(幻冬舎新書)、『道なき未知』(小社刊)などのエッセィを多数刊行している。

 

この著者の記事一覧

RELATED BOOKS -関連書籍-

静かに生きて考える
静かに生きて考える
  • 森博嗣
  • 2024.01.17
歌の終わりは海 Song End Sea (講談社文庫 も 28-86)
歌の終わりは海 Song End Sea (講談社文庫 も 28-86)
  • 森 博嗣
  • 2024.07.12
道なき未知 (ワニ文庫)
道なき未知 (ワニ文庫)
  • 博嗣, 森
  • 2019.04.22